モデルチェンジして再び話題となったツインパワーの半プラ問題を考察してみた話
その注目ポイントは2つあり、
1つは、自分も以前予想していたインフィニティループが搭載されるか?、
もう1つは、ボディの一部がCI4+製となる、いわゆる半プラボディが継続されるか?というところだと思います。
結果的に、インフィニティループ かつ 半プラボディ となったわけですが、
インフィニティループについては、以前記事を作成したことがあるので、そちらをご覧いただくとして、
今回は、半プラ問題の何が問題なのか?を考察してみたいと思います。
なお、私は根っからのダイワファンなので、シマノ製のリールは一切所有していない・・・という訳ではなく、実は1台だけ持っています。
既に廃盤になってしまいましたが、「クラブデミ」という超小型の両軸リールで、ダイワだと「コロネット」ですね。
PE6号30m + リーダー10号5mを巻きたいという特殊な要素に合うものを探していましたが、コロネットでは糸巻き量が全く足りず、大型サイズがあるクラブデミを選択したのでした。
閑話休題
話は逸れましたが、根っからのダイワファンである私は、24ツインパワーはもちろん買う気がありません。買うのは24セルテートです(笑)
そんな買う気がない見ているだけの人間が考える半プラの問題点は2つあると思っています。
強度のバランスが取れていないのではないか?
これは、ツインパワーの構造を見ていただくのが早いと思います。
上記は、シマノ公式ホームページから引用した20ツインパワー4000XGの展開図です。
赤色の図と文字は、わかりやすいように私が加筆しました。
いわゆる半プラボディというのは②の部分で、ここはCI4+樹脂製です。
一方、①のローターや、③のリールフットはアルミ製(番手によってはマグネシウム?)です。
ここで注目したいのは、①②③それぞれへの力の掛かり方で、
例えば、魚が走ってドラグが引き出されている状態を考えます。
すると、ラインが引き出されて、まず負荷がかかるのは ローター(ラインローラー)と シャフト(スプール軸)です。
これをどこが支えているかというと、ローターはピニオンギアを介して②ボディへ繫がります。
シャフトも、摺動子ガイドなどを経てやはり②ボディへ繫がります。
そして、②ボディから③ボディへ伝わり、ロッドに固定されます。
このケースの、力の掛かり方は、
①→②→③
および
②→③ ※シャフト
です。
次に巻き取る場合を考えてみましょう。
この場合は、ハンドルの回転力はドライブギアに伝わります。
ドライブギアは、②と③によって支えられています。
ドライブギアからは②に支えられたピニオンギアへ伝えられ①ローターを回転させます。
この時、スプールが固定されていなければ巻き取ることができませんので、シャフトにも負荷が掛かります。
このケースの、力の掛かり方は、
②+③→②→①
および
①→② ※シャフト
です。
こう考えると、②のボディは負荷の掛かりやすい重要なパーツであることが見えてくると思います。
また、ロータとリールフット間の力は、必ず②ボディを経由しなければ力を伝えられないことがわかると思います。
さて、強度のバランスという点を考えると、②のCI4+製ボディは、①のアルミローター・③のアルミボディに挟まれた関係で、②を経由しないと力が伝えられないと書きました。
つまり、①③にいくら高強度の素材を使用しても、リール全体の強度としては②の強度を超えられないことがわかります。
この点において、ツインパワーの半プラは強度バランスがあべこべで、強度のバランスがとれていないと考えられます。
ピンポイントに力が掛かりやすい部分(例えばリールフットなど)もあるので、一部だけ金属とすることに全く意味がないとは思いませんが、
優先度が決して低いとは思えない②ボディと、それ以外との強度差がありすぎて、完全に②ボディがボトルネックです。
シマノや、シマノ所属のテスターが十分な強度と強調していますが、
それってつまりはCI4+でも十分な用途でしか使っていないということです。
この辺りから金属素材を使った意味ある?と思えてくるのが正直なところ。
さて、ここで別な例としてステラの構造を見てみましょう。
上記は、シマノ公式ホームページから引用した22ステラ4000XGの展開図です。
赤色の図と文字は、同じく私が加筆しました。
ここで注目したいのは、②ボディです。
ツインパワーとは異なり、ステラは②ボディにリールフットが付いており、ローターとも繋がっています。
ツインパワーでリールフットが付いていた③ボディは、本当にただのフタです。
そして、このとき力の伝わり方は、①と②でほぼ完結しており、③にはあまり力が掛からないであろうことは想像いただけると思います。
もちろんドライブギアを支えているわけですから、ハンドルを回せば負荷が掛かる部品ではありますが、
ツインパワーとは全く異なる力の掛かり方であることは、わかっていただけると思います。
明らかにステラの構造の方が強度的なメリットを感じます。
そして疑問が浮かびます。
「なぜ、ツインパワーでは、ステラの構造を採用しなかったのだろう?」
という点です。
半プラ半プラと揶揄されていますが、ステラの構造で③ボディだけCI4+にするのであれば、それほど揶揄されることにならなかったように思えるからです。
これには、3つの理由があるのではないかと思います。
1点目は軽量化です。
ダイワがLTコンセプトにより大幅な軽量化を果たし、ツインパワーのライバルとも言えるセルテートも軽量化されました。
それに対抗するためには、ただのフタであるステラの構造では物足りなく、もっと攻めた設計にしなければならなかったのではないか?という可能性です。
ただ、19セルテートが発表されてからでは開発期間が短すぎると思いますので、18イグジストからの流れを見ての判断かもしれません。
2点目は製造コストです。
CI4+は低価格帯リールでも使われていることからわかるように、素材のコストが安いのではないかと思われます。
また、金属より加工しやすそうですので、製造コストも安そうです。
軸受けなど複雑な構造を作り込まなければならないボディ部は、特にコスト面のメリットがあるのではないかと思われます。
3点目はステラとの差別化です。
ステラと同じ構造でフタだけCI4+なんてことになったら、ステラと差別化ができなくなってしまうと考えた可能性ですね。
というか、ほとんどこれではないかと思っています。
そのせいでツインパワーは何を目指しているのかわからない、ただステラより安いだけの中途半端な存在になっていると。
私個人としては、ステラはマグネシム合金製、ツインパワーはアルミ合金製、それぞれフルメタルボディで素材の違いのみにすれば良いんじゃないかと思っています。
そうすれば差別化もできますし、方向性も変えられます。ツインパワーの存在意義が生まれます(笑)
でも、シマノはそうしなくは無いのでしょう。ステラが売れなくなるから。
でも、そんなことを何時までも言っていられるんですかね?
ダイワは、エアリティにセルテートと、この価格帯で攻勢を強めています。
ぶっちゃけエアリティなんてイグジストと機能的には同じです。
もちろん組み立て精度や仕上げ、アフターサービスなどで差はありますが、
センシティブチューンを標準ラインナップ化するなど、一部はイグジストを超えています。
シマノは、ただでさえ発売時期が未定であったり、品質問題を抱えたり、劣勢な部分があるというのに、何時まで出し惜しみをしているのでしょう?
いや、ダイワファンとしてはこのままでも良いんですよ?
勢いのあるダイワを見ているのは気持ちいいですから(笑)
でも、危機感を与える相手がいないと、勢いが止まっていますような気がするのが、強気になれないところ(笑)
そういう意味ではツインパワーに期待していたのですが、、、
見事に予想通りでした(笑)
強度を強調しすぎているのではないか?
半プラ問題の問題点の2つ目は、強度を強調しすぎているのではないか?という点です。
ツインパワーの製品ページを見ると、アルミローターの強度は樹脂ローターと比較して変形量が6割減という力強い言葉が書かれていますが、
ボディに関してはCI4+の強度比較画像は掲載されているものの、具体的な数値はなく、なんとも歯切れの悪い書き方です。
「過剰なまでの剛性を目指したボディ設計」などと書かれていますが、上の方で指摘したアルミローターに釣り合う強度を持っているかは全く記載がありません。
これが不信感を高める原因なのではないかと思っています。
シマノは、しつこいまでにCI4+の強度を強調しますが、それを証明するデータがない。
シマノって自信があるものなら、グラフや図で比較しますよね?
それができないってことは、自信が無いことの表れです。
強度を強調しすぎて墓穴を掘っているようにしか思えません。
例えば、強度には余り触れず「金属ローターによる安定した巻き心地」みたいな、ローター慣性を生かした釣りに最適ですと書いておけば良いんですよ。
ツインパワーのアイデンティティが保てるかは別として。
ただ、半プラによって既にアイデンティティは壊れているのですから、何を今更って感じですよね(笑)
そこそこ強いですけど、本当に強いのが欲しければステラへどうぞ、としておけばいい。
それなのに必要以上に強度を強調して、そのエビデンスは示せない自己矛盾に陥っている。
インフィニティループもそうですが、最近のシマノは売り方が悪いというか迷走しています。
これが本業の自転車の方でも感じるのだから困ったもの (自分は自転車も趣味の1つです)
シマノって普通のものを普通に作るのが良いところだと思っていたのですが違うのでしょうか?
イノベーションはダイワにやらせておけば良いんですよ(笑)
ダイワがイノベーションを起こして、シマノがアイディアやコンセプトをパクる。
シマノが改良して、ダイワがそれをパクる。
例外はありますが、このケースであることが多い。
そんな関係性だと思っています(笑)
(おまけ)ダイワだって樹脂部品使ってるじゃないか?
これは全く違うと思います。
まず、樹脂と言ってもザイオンとCI4+では強度が天と地ほど異なります。
メーカーが公式な比較を行っていないので、具体的な数値ではわかりませんが、
展示会で、ザイオン製のローターとCI4+製のローターを、(壊れない程度に)にぎにぎしてみてください。
違いが簡単にわかるくらい別物ですから。
よくダイワはローターが樹脂だからと敬遠される方がいますが、小型番手においてはザイオンで十分以上の強度が確保されていると考えています。
サケ釣りでラインを出さずに強引なやりとりをすることが多々ありますが、強度不足を感じたことは全くありません。
ザイオンはメーカーの説明では、マグネシウム合金と同等の強度であるとされています。
恐らく衝撃には弱いと思われますので、総合的に見ればマグネシウム合金の方が強度が高い素材だと考えられますが、
軽量性とのトレードオフと考えれば、非常に価値がある素材です。
一方で、CI4+は具体的に比較できるデータがありません。
前述の通り、図やグラフが大好きなシマノですから具体的な差を示せないと言うことは、相当な差があるのでしょう。
ですので、まずは素材の差という点で全く異なります。これが1点目。
2点目としては、樹脂が使用されている場所です。
セルテートはローター、ツインパワーはボディに樹脂素材が使用されています。
ここでスピニングリールにおける耐久性とは何か?を考えます。
まず、物理的な破断という観点の耐久性を考えてみると、
ローターが割れたや、リールフットが折れたというトラブルは聞きいたことがありますが、
製造不良でもなければ、そんな壊れ方をする前に普通はドラグが作動します。
なので、ローターが樹脂であろうが、ボディが樹脂であろうが
常識的な使い方をしていれば、十分な強度があると考えられ、
破断という点においては、ローターやボディの素材はそれほど大きな問題ではありません。
それよりも、スピニングリールにおいて、「そろそろオーバーホールするか」「買い換えるか」と考える理由付けとしては、
巻いたときのゴリゴリ感などの違和感が大きいのではないかと思います。
ここで重要になってくるのは、そうです。ボディです。
ボディがしっかりしてれば、中のギアをしっかり支えられます。
ゴリ巻きしても歪みが少なくてすみます。
そうすると自ずと答えは見えてきますね?(笑)
まぁ、私はダイワの回し者(自称)ですので、バイアスが掛かっていることは否定しませんが、
たぶんシマノ信者ファンの方なら「ギアの耐久性が違う」と言われるかもしれません。
でも、ここで話題にしているのはボディ素材の話です。
それに、その耐久性が高いギアが、しっかりしたボディに収まれば、リールの耐久性は更に上がると思いませんか?
樹脂で十分ですか?
とまぁ、少し煽り気味なってしまいましたが、別にケンカをするつもりはありませんのであしからず。
半プラなんか止めて、フルメタルボディにすればもっと良くなるのにと思うダイワユーザーの意見でした。
おしまい